求人媒体に依存しない採用をなぜホームページ制作会社は強く勧めるのか
私たちホームページ制作会社は、これまで数多くの企業の採用サイト制作やリニューアルに関わってきました。その中で一貫して感じていることがあります。それは、求人媒体に依存した採用を続けている企業ほど、Web活用の本質から遠ざかっているという現実です。
採用サイトの相談を受ける際、多くの企業が口にするのは「求人媒体の費用が高い」「応募は来るが良い人が来ない」「採用してもすぐ辞めてしまう」という悩みです。しかしその多くは、求人媒体そのものが悪いのではなく、自社のWebサイトが採用において機能していないことに原因があります。
本稿では、ホームページ制作会社という第三者かつ実務者の視点から、求人媒体依存が生まれる構造と、それを脱却するために本来企業が整えるべき「自社採用システム」について解説します。
採用サイト制作の相談現場で見える「求人媒体前提」の思考停止
採用サイトの制作依頼を受ける際、最初のヒアリングでほぼ必ず出てくる前提があります。それは「求人媒体に載せることが前提で、ホームページは補足情報」という認識です。この時点で、Webの役割が大きく誤解されています。
求人媒体はあくまで「集客装置の一つ」に過ぎません。本来、企業の採用における情報の中核は、自社がコントロールできるホームページにあるべきです。しかし実際には、求人媒体のフォーマットに合わせた情報設計が優先され、そのコピーをそのまま採用ページに流用しているケースが非常に多く見られます。
制作会社の立場から見ると、これは非常にもったいない状態です。なぜなら、ホームページは制限なく情報を設計できる唯一の採用メディアだからです。にもかかわらず、その自由度を放棄し、求人媒体と同じ土俵で勝負しようとしてしまっている企業が後を絶ちません。
なぜ求人媒体中心の採用は「Web的に弱い」のか
ホームページ制作の視点で見ると、求人媒体中心の採用には明確な弱点があります。
第一に、情報の主導権が企業側にありません。求人媒体はあらかじめ決められたフォーマットの中で情報を掲載する仕組みです。そのため、企業の思想や文化、仕事の進め方といった文脈情報が削ぎ落とされやすく、条件面だけが強調されます。
第二に、SEOやコンテンツ資産として何も残らない点です。求人媒体にいくら費用を投下しても、その情報は自社のWeb資産として蓄積されません。掲載期間が終われば露出はゼロになり、また次の費用が発生します。これはWeb制作の観点から見ると、極めて非効率な投資です。
第三に、アクセスデータや行動データを十分に活用できない点です。自社サイトであれば、どのページを見て応募したのか、どの情報で離脱したのかを分析できますが、求人媒体ではその多くがブラックボックスになります。改善のための材料が揃わないまま、感覚的な採用判断を繰り返すことになります。
ホームページ制作会社が考える「自社採用システム」とは
私たち制作会社が提案する自社採用システムとは、単に採用ページを作ることではありません。採用を目的としたWebサイト全体の設計思想を指します。
採用に強いホームページには共通点があります。それは、採用情報が「孤立したページ」ではなく、会社紹介、事業内容、実績、代表メッセージ、社員インタビューといった情報と有機的につながっている点です。求職者は求人票だけを見て応募を決めているわけではありません。企業名で検索し、会社の考え方や将来性を総合的に判断しています。
自社採用システムとは、こうした求職者の行動を前提に、情報接触から応募までの導線を自社サイト内で完結させる仕組みを指します。制作会社の仕事は、その導線を設計し、機能させることにあります。
採用サイト制作で最も重視すべき「情報の順番」
制作現場で特に重視しているのが、情報の順番です。多くの採用ページでは、いきなり募集要項が前面に出てきます。しかし、これはWeb的には合理的ではありません。
求職者が最初に知りたいのは、「この会社は何をしているのか」「どんな考え方の会社なのか」「自分がそこで働く意味があるのか」という点です。これらが理解されないまま条件だけを提示しても、応募の質は上がりません。
制作会社の視点では、採用ページは以下のような情報構造を持つべきだと考えています。まず企業の背景や価値観を伝え、次に仕事のリアルを具体的に示し、その上で募集要項に進む。この順番を守ることで、自然な自己選別が起こり、ミスマッチが減少します。
求人媒体では表現できない「仕事の現実」をどう伝えるか
求人媒体ではネガティブに見える情報は避けられがちですが、制作会社としては、あえて仕事の厳しさや大変さも含めて伝えるべきだと考えています。
実際、採用サイトをリニューアルする際に、仕事の難しさや求められる姿勢を正直に書いた企業ほど、応募数は減っても定着率が上がる傾向があります。これはWeb上のコンテンツがフィルターとして機能している証拠です。
ホームページは「良く見せるためのツール」ではなく、「正しく伝えるためのツール」です。この認識を持てるかどうかが、自社採用システム構築の分かれ目になります。
制作会社から見たGoogleしごと検索と採用SEOの重要性
採用におけるWeb活用で見落とされがちなのが、検索エンジンの存在です。求人媒体に頼らず採用を行うためには、検索からの流入を確保する必要があります。
制作会社としては、採用ページをGoogleしごと検索に正しく認識させるための構造化データの実装や、職種名・地域名を意識したSEO設計を行います。これにより、求人媒体に掲載しなくても、求職者が検索した際に自社の求人情報が表示される状態を作ることが可能です。
これは一度整備すれば継続的に効果を発揮する仕組みであり、広告費をかけ続ける採用モデルとは本質的に異なります。
採用サイトは「作って終わり」ではない
制作会社として強調したいのは、採用サイトも運用が前提であるという点です。公開後にアクセスデータを確認し、どのページが読まれているのか、どこで離脱しているのかを分析し、改善を重ねていく必要があります。
この運用を行わず、求人媒体に再び予算を投下してしまう企業は少なくありません。しかしそれでは、せっかく作った自社採用システムが機能する前に放置されてしまいます。
採用もWeb集客と同様に、中長期視点での改善が不可欠です。この点を理解している企業ほど、求人媒体への依存度が自然と下がっていきます。
求人媒体に依存しない採用とは、特別な施策ではありません。本来あるべきWebの使い方に立ち返ることに他なりません。自社の思想や仕事の価値を、自社の言葉で、自社のホームページ上で伝える。その結果として共感した人材が応募してくる状態を作ることが、自社採用システムの本質です。
ホームページ制作会社の立場から見て、採用に成功している企業ほど、採用を「広告」ではなく「情報設計」として捉えています。求人媒体はあくまで補助的な手段であり、採用の主戦場は自社のWebサイトにある。この認識を持つことが、採用の質と効率を根本から変える第一歩になるのです。
求人媒体に依存しない「自社採用システム」の構築 Googleしごと検索・Indeed・SNS・動画を駆使しミスマッチを0にするための「選別」の設計図
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